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昨日の恋―爽太捕物帖 (文春文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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江戸庶民の様々な人生
主人公は岡っ引きの爽太ですが、あくまで彼は狂言回しのような感じになっていてそれぞれの話に柱となる人物が出てきます。それらの人々はいわゆる庶民なので感情移入しやすいです。また短編集なので時代物を始めて読むには適しているのではないでしょうか。作者の北原さんは女心を描くのがとても上手な作家さんだと思いました。
味わい深い短編集
世にいう捕物帖とは少し違う。ちょっとした短編が7品並んでいる。その中の『頬の傷』という短編に筋とは関係無いがこんな記述がある。主人公の爽太の昔のスリ仲間の菊蔵が長屋での人傷沙汰の報告に来る。「下っ引きの仕事なんざ、しなくてもいいんだぜといおうと思ったが、やめにした。働き者で気のいい女房と幸せに暮らしているのなら、人に嫌われる岡っ引きだの下っ引きだのと縁をきった方が良いと爽太は思っても、菊蔵は、昔の仲間と縁が切ることを淋しがるかもしれなかった。」大きな殺人事件が有るわけでも、爽太の鋭い推理が有るわけでも無い。ただこんなちょっとした文からも分かるように、普通の人の「淋しさ」「恋しさ」「惨めさ」などの気持ちの動きを丁寧に描いた捕物帖なのである。一読すると物足りないと思うかもしないがじっくり読むとなかなか味わいのある短編集である。
文藝春秋
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